部門紹介

消化器センター [日本外科学会外科専門医制度関連施設]
[日本消化器外科学会専門医制度関連施設]
[日本大腸肛門病学会関連施設]

内視鏡検査内視鏡検査とは、先端に小型カメラ (CCD) またはレンズを内蔵した太さ1cm程の細長い管を口あるいは肛門より挿入し、食道、胃、十二指腸や大腸の内部を観察し、時には治療を行うものです。医療機器や技術の発達により応用範囲も広がり、診断から治療までスムーズに行われるようになってきました。
観察する病変の場所、種類によって方法が異なりますので、ご自分が検査を受けられる場合には十分に説明を受けていただきたいと思います。

検査の受け方について

通常は検査日の予約が必要です。担当医とご相談の上,検査日をお決めください。また、検査当日は内視鏡検査の種類によって異なった前処置(絶食や洗腸など)が必要ですので、お間違えのないように指示をご確認ください。
検査当日は、胃腸の動きを止める薬や麻酔薬などいろいろな薬を使う可能性があります。検査の安全性を高めるため、検査前には以下のような項目について質問されるかと思います。また各項目に心あたりがありましたら積極的にお申し出ください。

  • ◎ 歯の治療で麻酔の注射(キシロカイン)で具合が悪くなったことがあるか
  • ◎ 血の止まりにくい薬を飲んでいるか(ワーファリン、バッファリンなど)
  • ◎ 高血圧の薬を飲んでいるか
  • ◎ 不整脈といわれたことがあるか
  • ◎ 狭心症、心筋梗塞、その他の心臓の病気といわれたことがあるか
  • ◎ 緑内障といわれたことがあるか
  • ◎ 前立腺肥大があるか
  • ◎ 糖尿病でインスリンを使用しているか
  • ◎ 睡眠薬、精神安定剤を服用しているか
  • ◎ 脳卒中を起こしたことがあるか

服用している薬の中止方法や、検査当日の服用方法については担当医から指示を受けて下さい。
検査後2時間くらいは車の運転は危険ですので避けて下さい。

緊急検査の場合

吐血や下血など消化管からの出血が疑われる場合など病状によっては緊急に内視鏡検査を行う必要があります。この場合はすぐに検査をしないと生命に危険が生じると判断されるときであり、予約の必要はありません。
検査後入院が必要になる場合があります。

上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡)

一般上部消化管内視鏡検査とは

上部消化管とは食道・胃・十二指腸を指し、口または鼻から内視鏡を挿入し、これらの部位を一連の検査で観察します。昔から「胃カメラ」と言われてきたものです。
腹痛、貧血などの原因を調べるため、食道・胃・十二指腸に発生した潰瘍、炎症、腫瘍、ポリープなどを診断するために行います。その際組織検査(顕微鏡で細胞を確認する)のため病変の一部を摘み取ってくることがあります(生検といいます)。
最近細径内視鏡を用いた経鼻内視鏡検査(鼻から入れる内視鏡)が普及しています。検査中の嘔吐反射が少なく、楽な検査でありますが、経口内視鏡に比べ、画像が劣るなどの問題点もあります。

経口内視鏡

経口内視鏡

経鼻内視鏡

経鼻内視鏡

1.事前検査

検査を安全に行うために、全身状態の把握や感染症の有無について、採血、尿検査、心電図検査などを行う場合があります。

2.前処置

検査前日の夕食は、午後9時までに軽くとります。それ以降の飲食は控えてください。水などの水分摂取は構いません。
検査当日の食事(牛乳、ジュース、お茶なども)は控えてください。水のみは結構です。(降圧剤などの内服薬に関しては、事前に担当医に相談ください。)
当日の服装は身体を締め付けるものは避けてください。(和服、腹巻、ボディスーツ、ガードルなど)
お薬として脳梗塞、心疾患予防のため、血液をさらさらにする薬(抗凝固剤など)をあらかじめ検査前休薬していただくことがあります。担当医とご相談ください。

3.検査当日の手順

経口内視鏡

  • ・前処置室でガスコン®(消泡剤:白い液体で胃をきれいにします)を飲みます。
  • ・次にキシロカインビスカス®(のどの麻酔)を3-5分間、のどに溜めたのち、ゆっくり飲み込みます。
  • ・胃の運動を止める薬(抗コリン剤など)、緊張を和らげる薬(鎮静剤など)を注射します(行わないこともあります)。
  • ・検査室に移動したら、ベルトを緩め検査台の上で、左側を下にして横向きに寝ます。
  • ・キシロカインスプレー®により、のどの麻酔を追加することもあります。
  • ・マウスピースをくわえます。
  • ・内視鏡が口より挿入され、検査が始まります。
  • ・肩・首・のどの力を抜いてください。唾液は呑み込まずに口から外に出してください。
    げっぷはなるべく我慢してください。通常検査は5-10分前後で終了します。

経鼻内視鏡

  • ・前処置室でガスコン®水(消泡剤:白い液体で胃をきれいにします)を飲みます。
  • ・鼻の通過をよくする薬(プリビナ®など)を点鼻・噴霧します。
  • ・鼻の中をキシロカイン®にて麻酔します。プレー及びスティックを使用します。 経鼻内視鏡(鼻腔の麻酔方法)
  • ・キシロカインスプレー®・ビスカス®により、のど麻酔を追加することもあります。
  • ・検査室に移動したら、ベルトを緩め検査台の上で、左側を下にして横向きに寝ます。
  • ・細い内視鏡が鼻から挿入され、検査が始まります。
  • ・肩・首・のどの力を抜いてください。げっぷはなるべく我慢してください。通常検査は、10-15分で終了します。

4.検査後の行動、注意事項

検査当日はいろいろな薬を検査後の車の運転は避けてください。
飲水、食事は各施設で指示をうけて(通常検査終了後1時間後より、経鼻内視鏡では30分から1時間後より)摂取してください。
組織やポリープをとった方は、刺激のある食事、飲酒、コーヒーなどは2-3日なるべく避けてください。
色素内視鏡検査(インジゴカルミンなど)を受けた方は、便が青くなることがありますが心配要りません。
当日の激しい運動はおやめください。またお風呂も長風呂を避け、シャワー程度がよいでしょう。
最終検査結果は後日となりますので、次回外来診察日を確認してください。
もし、吐き気、腹痛、タール便(黒い便)が生じた場合には、病院に至急連絡してください。

上部消化管内視鏡検査の合併症

まれに、消化管出血、穿孔などの偶発症が生じた場合、入院や緊急の処置・手術が必要となることがあります。出血、穿孔などの発生頻度は全国集計で0.012%でした。

下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡検査)

大腸内視鏡検査大腸内視鏡検査では、大腸(結腸と直腸)と小腸の一部を観察するために肛門から内視鏡を挿入し、これらの部位に発生したポリープや癌、炎症などを診断します。組織の一部をとって調べたり(生検)、病変を内視鏡的に切除(ポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術など)することもできます。

1.事前検査

検査を安全に行うために、全身状態を調べたり感染症の有無を知るために、採血検査やその他の検査を行う場合があります。

2.検査の前処置

大腸の内視鏡検査を行うには、大腸の中を空にしなければなりません。検査の予約の際に渡される説明書に従って準備してください。下剤を自宅で服用していただくのを原則としますが、高齢者などは前日より入院し、検査する事も可能です。
検査前日は検査食を食べていただきます。当日の朝食は絶食です。午後からの検査の場合は昼食も絶食です。
ただし、排便状態が十分ではないときには下剤の服用を追加したり浣腸を追加することがあります。

3.検査当日の手順

  • ・名前が呼ばれたら、指定された場所で検査着に着替えます。
  • ・検査室へ移動したら、検査台の上で横になります。
  • ・緊張を和らげる薬や痛み止めの薬を注射する場合があります。

おなかに力を入れず楽にしてください。検査時間は患者さんにより多少違いますが、およそ15分から1時間です。
途中で体の向きを変えたり、おなかが圧迫されることがあります。
X線透視を用いて内視鏡の進み具合や腸の形の様子を確認することがあります。

4.検査後の行動、注意事項

おなかが張って来ますので、ガスをどんどん出してください。時間を追って楽になります。
最初、水を少しのみ、気分が悪くならなければ食事しても結構です。
組織やポリープをとった方は、医師の指示により一定期間消化の良い食事をしてください。刺激物、脂っこいもの、アルコール類は避けてください。
検査後、便に少量の血が混じることがありますが心配いりません。しかし、出血量が多くなかなか止まらない場合や、痛みが続く場合には病院に至急連絡してください。
検査当日の激しい運動はおやめください。また、お風呂も長風呂を避け、シャワー程度が無難です。
最終検査結果は後日となりますので、次回外来診察日をご確認ください。
検査当日の車などの運転は控えてください。

大腸内視鏡検査の偶発症

組織検査のため一部をとって調べたり、ポリープの切除などの治療を行うことがありますが、ごくまれに出血や穿孔などの偶発症を起すことがあります。万が一偶発症が起きた場合、入院や緊急の処置・手術が必要になることがあります。なお、大腸内視鏡検査および治療に伴う偶発症発生頻度は全国集計(1998年から2002年の5年間)で0.069%(1449人に1名の割合)でした。